試験対策テクニック④電卓(計算機)の機能を使いこなす
2016/06/08
簿記2級を受験する上で、電卓(計算機)はなくてはならない存在です。
正直、ただ単に計算をするだけでも合格はできますが、一歩進んだ電卓機能を使いこなすことができれば、より合格に一歩近づけることは間違いありません。
そこで、今回は簿記2級に役立つ有効な電卓機能の活用方法をご紹介します。
GT(グランド・トータルキー)とは
グランドトータル機能とは、電卓の中に複数の計算結果を記憶させられる機能です。
計算結果に【=】キーを押すたびに、その数値が自動的に記憶していくという優れものです。
分かりやすい例で言うと、エクセルの【SUM関数】と似たような機能となります。
グランドトータルキーの計算方法
それでは、グランドトータルキーの基本的な操作方法を見てみましょう。
以下の5つの計算を順番に行ったとします。
10×10=100
20×20=400
30×30=900
40×40=1600
50×50=2500
この5つの計算結果の合計値を算出したい場合、【GT】キーを押すのです。
すると、計算結果を記憶した数値の合計
100+400+900+1600+2500=5500
という数値が算出されます。
この時に注意しなければならないのが、必ず【=】キーを押さなければ数値の記憶はされないといいうことです。
したがって、上記の計算方法を完結させるには
10×10=20×20=30×30=40×40=50×50=GT
という順序で押す形になります。
グランドトータルキーの活用事例
では実際に、簿記2級で使えるグランドトータルキーの活用事例をご紹介します。
簿記2級の工業簿記における、標準原価計算の問題です。
標準原価カードに基づいて、以下の数値から製品1個あたりの標準原価を求める場合です。
【標準原価カード】
標準直接材料費
@200円(標準価格)×0.5m(標準消費量)=100円
標準直接労務費
@300円(標準賃率)×2時間(標準作業時間)=600円
標準製造間接費
@150円(標準配賦率)×2時間(標準作業時間)=300円
※製品1個あたりの標準原価=1000円
この場合、計算機のグランドトータル機能を使うと
200×0.5=300×2=150×2=GT(1000円)
というタイピング順になります。
メモリ機能とは
メモリ機能とは、分かりやすくお伝えすると、1つの計算結果をその都度メモ用紙に書き込んでいた作業を、そのまま計算機に記憶させることのできる機能です。
一見すると、グランドトータル機能とほぼ変わりないように思われがちですが、まずキーの数が違います。
メモリ機能にはM+、M-、RM、CMの4つのキーがあり、それぞれの役割を理解しなければ、簿記検定における計算機のスピードアップは難しいでしょう。
メモリ機能の計算方法
メモリープラス
メモリープラスは、電卓の画面上に表示されている数字や1つの計算結果を加算記憶させるための機能です。
例)
10と入力後M+を押す⇒+10として記憶
10+10と入力後M+を押す⇒+20として記憶
メモリーマイナス
メモリーマイナスは、メモリープラスの逆で、減算記憶させるための機能です。
例)
10と入力後M-を押す⇒-10として記憶
10+10と入力後M-を押す⇒-20として記憶
リターンメモリー
リターンメモリーは、メモリープラスとメモリーマイナスに記憶された数値の合算値を導き出すキーとなります。
例)
10と入力後M+を押す
↓
10+10と入力後M-を押す
↓
【RM】を押す
↓
-10が導き出される
クリアメモリー
クリアメモリーは、メモリ機能に記憶させた数値をすべて消去させることができます。
電卓の種類によっては、キーの位置や表記が若干異なる場合がありますのでご注意ください。
ちなみに、私が愛用している電卓(Canon HS-1220TUG)は、リターンメモリーとクリアメモリーが一つのキーとしてまとめられていますので、メモリ消去したい場合は、【RM/CM】ボタンを2回押す必要があります。
メモリ機能の活用事例
では実際に、簿記2級で使えるメモリ機能の活用事例をご紹介します。
商業簿記における、売買目的有価証券の分野で出題される何回かに分けて購入した有価証券の帳簿単価を平均原価法で求める際に、メモリ機能がその効果を発揮します。
例えば、1回目に@100円で100株を、2回目に@120円で100株を購入したとします。
この時の売却株式の平均単価をメモリ機能を活用して算出できるのです。
【平均原価法による株式単価の算出】
①1回目の取得原価:@100×100株=10,000円
②2回目の取得原価:@120×100株=12,000円
③平均単価:(10,000円+12,000円)÷(100株+100株)=@110円
この算出方法をメモリ機能に当てはめてみると
100×100【M+】120×100【M+】【RM】÷200=110
という感じで、一度もメモを取らずに平均単価を算出できました。
上記の方程式では、グランドトータルキーを使っても算出可能ですので、どちらの機能を使うかは、使い慣れている方でいいかと思います。
まとめ
今回は、電卓のグランドトータルキーとメモリ機能をいかにして簿記2級で使えるようにするかをお伝えしてきました。
この機能を活用することで、メモ用紙に書き写す時間の短縮になりますし、何より転記ミスを防ぐという最大のメリットがあります。
上記の活用事例は、あくまでも一例なので、その他に活用できる簿記計算はまだまだ存在しています。
基本的に2つの機能ともに、加減計算に特化した機能ですので、簿記の計算にはなくてはならない存在なのです。
この電卓の機能をしっかりと理解した上で、日々簿記の学習の中でこの機能を活用できる論点を発見するのもまた楽しみの一つになるかもしれませんね。